自転は加速している

大学生のお勉強用

「論語と算盤」抜粋

 

本日は渋沢栄一の「論語と算盤」をよんでいきます

(「抜粋」なので、大事だと判断した箇所を書き出してるだけです。)

ちくま新書の現代語訳版を買ったんですが、帯に「全てのビジネス人必読!」の文字が😮

日本の産業界を作り上げた渋沢ですから、ビジネスマンは読んでおくと良いかもしれませんね

(どうでもいいけど、ビジネス「人」って単語に違和感があるのはわたしだけでしょうか)

 

論語と算盤 現代語訳 (ちくま新書) [ 渋沢栄一 ]

価格:885円
(2017/7/22 23:34時点)
感想(28件)

 第一章 処世と信条

モノの豊かさとは、大きな欲望を抱いて経済活動を行ってやろうぐらいの気概がなければ、進展していかないものだと考えている。空虚な理論に走ったり、中身のない繁栄をよしとするような国民では、本当の成長とは無関係に終わってしまうのだ。(14)

実業とは多くの人に、モノが行き渡るようにするなりわいなのだ。これが完全でないと国の富は形にならない。(15)

中国は国も古いし、文化も早くに開けて孔子孟子のような聖人・賢者を出しているため、政治方面、文学方面他において日本より一日の長がある。それゆえ、中国の文化遺産や学問もあわせて修得して、才能を養わねばならない。(16)

最近では、世の中の進歩に従って欧米各国から新しい学説が入ってくる。(中略)しかしすでに東洋で数千年前にいっていることと同一なものを、ただ言葉の言い回しを上手に変えているにすぎないと思われることも多い。(20)

適材が適所で働き、その結果として、なんらかの成績を上げていることは、その人が国家社会に貢献する本当の道である。(28)

国家が健全な発達を遂げていくためには、商工業においても、学術や芸術、工芸においても、また外交においても、常に外国と争って必ずこれに勝ってみせるという意気込みがなければならない。(30)

進むことばかりを知って、身の丈を守ることを知らないと、とんだ間違いを引き起こすことがある。(38)

 

第二章 立志と学問

農工商に携わる人への学問は、ほとんどなかった。それだけでなく、一般の教養に関してもレベルが低く、その多くは政治教育といった感じだった。海外との交流が盛んになったのに、教育に対する知恵や見識等なかったのだ。(45)

わたしなどは海外と交流していくためには、どうしても科学的知識が必要であることを、声をからして叫んできた。(46)

(人情が陥りがちな欠点として)成果を焦っては大局を見ることを忘れ、目先の出来事に拘ってはわずかな成功に満足してしまうかと思えば、それほどでもない失敗に落胆する。ーこんな者が多い。(60)

実業界で身を立てようと志したのが、ようやく明治4、5年頃のこと(中略)欧米諸国が当時のような強さを誇った理由は、商工業の発達にあり(中らy区)国家のために商工業の発達を図りたいという考えが起こって、ここで初めて「実業界の人になろう」との決心がついたのであった。(63)

 

第三章 常識と習慣

ごく一般的な人情に通じて、世間の考え方を理解し、物事をうまく処理できる能力が、常識に外ならない、(66)

(自分は)社会で生きていくにあたって、自分の栄達はもちろん、社会全体のためにも働き、できるかぎりの善行を植え付け、世の中の進歩をはかりたいという気持ちを持ち続けてきたのだ。(70)

道理にかなっていることがあれば、私はその人のため、助けるようにしている。(72)

人の心の善悪よりは、その「振る舞い」の善悪に重点が置かれる。しかも、心の善悪よりも「振る舞い」の善悪の方が、端から判別しやすいため、どうしても「振る舞い」に優れ、よく見える方が信用されやすくなるのだ。(76)

 

第四章 仁義と富貴

自分一人の利益ばかり考えれば、人から欲しいものを奪いとらないと満足できなくなる。だからこそ本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではない。(86)

(宋の時代の学者は)頭でっかちの議論を振りかざし、利益を掴むことを否定してかかったのだ。その結果、人々の元気がなくなり、国家も衰えて弱くなってしまった。(87)

人はただ一人では何も出来ない存在だ。国家社会の助けがあって、初めて自分でも利益が上げられ、安全に生きていくことができる。(中略)これを思えば、富を手にするほど、社会から助けてもらっていることになる。だからこそ、この恩恵に恩返しするという意味で、貧しい人を救うための事業に乗り出すのは、むしろ当然の義務であろう。(96)

(お金を)よく集めて、よく使い、社会を活発にして、経済活動の成長を促すことを、心ある人はぜひとも心がけてほしい。(102)

 

第五章 理想と迷信

自分のやるべきことに深い「趣味」を持って努力すれば、全てが自分の思う通りにならなくても、心からわき上がる理想や思いの一部分ぐらいは叶うものだと思う。(108)

今日の状態は、天下の人々の心が一つになるようなこともなく、宗教もまた形式的になってしまった。残念ながらまるで茶道の流派や流儀のように、分裂したありさまに宗教界がなってしまっている。(114)

その国の枠組みばかりが整備されても、それを使いこなす人の知識や能力が伴っていなければ、本当の文明国とはいえないのだ。(121)

経済的豊かさの根本となる実業の育成は、短い年月で満足した成果を上げることができない。(122)

 

第六章 人格と修養

人が動物と異なる点は、道徳を身につけ、知恵を磨き、世の中のためになる貢献ができるという点にある。(126)

自分を磨くことは理屈ではなく、実際に行うべきこと。(134)

有名な儒教の学者は多いけれど、理論と現実を融合させた人物は少なく、わずかに熊沢蕃山、野中兼山、新井白石貝原益軒など数人にすぎない。(137)

明治維新の前までは、社会における道徳教育が比較的盛んな時代だった。ところが西洋の文化を輸入するにつけ、思想界には少なからず変革の波が起こって、今日では、道徳がひどく混沌とする時代状況になってしまった。(142)

 

第七章 算盤と権利

孔子は権利という考え方の薄い社会で成長し、しかも他人を導く宗教家として活躍したわけではないから、その考えに権利がはっきりうちだされていないのは、仕方のないことだと思う。(149)

キリスト教は、夢想の色合いの強い時代に生まれた宗教なので、その教えが命令的で、権利思想も強くなったのである。(150)

資本家と労働者の間には、長年にわたって結ばれてきた一種の情愛の雰囲気があった。ところが法を設けて、両者の権利や義務を明らかに主張できるようにしてしまえば、自然の成り行きとして、せっかくの両者の関係にスキマを作ってしまうことにならないだろうか。(152)

資本家は「思いやりの道」によって労働者と向き合い、労働者もまた「思いやりの道」によって資本家と向き合い、両者の関わる事業の損得は、そもそも共通の前提に立っていることを悟るべきなのだ。(154)

国民全部がみな富めるものになれば望ましいのだが、人には賢さや能力という点でどうしても差がある。(中略)個人の豊かさとは、すなわち国家の豊かさだ。(中略)国家を豊かにし、自分も地位や名誉を手に入れようと思うから、人々は日夜努力するのだ。(155)

 

第八章 実業と士道

(武士道の残念な点は)武士道が日本の代表的な長所だったにもかかわらず、古来もっぱら武家社会だけで行われ、経済活動に従事する商工業者の間では、重んじられなかったことである。(166)

日本の商工業者は、いまだに昔の慣習から抜け出せずに、ややもすれば道徳という考え方も無視して、一時の利益に走ってしまう傾向にある。(168)

いまや武士道は言い換えて、実業道とするのがよい。日本人はあくまで、大和魂の生まれ変わりである武士道で世に立っていかなければならない。(169)

もっとも日本の文明が発達したのは最近の話で、しかも欧米諸国をモデルとした部分がとても多いのは事実だ。(中略)しかし欧米心酔の時代に別れを告げ、模倣の時代から立ち去って、自ら創造し満足するレベルに登らなければならないのだ。(170)

あるものとないものを、お互いに融通し合うというのは、数千年前から理解されていた経済上の原則で、この大原則に反しては経済の発展など思い描くことができないのだ。(171)

(外国の風習ばかり見てそれをまねようとすると無理なこともあるので)その社会の組織や風習をよく観察し、そこに祖先由来の素養や慣習を照らし合わせて、その国、その社会に合うような道徳の考え方を育てるように努力しなければならない。(174)

(欧米の倫理の学問について)その出発点は宗教なのだ。この点、日本人の心情とは一致し難い面があった。(178)

商業道徳の要であり、国家においても、世界においても直接的に大きな影響のある「信用」の威力を宣伝していかなければならない。(180)

 

第九章 教育と情?

昔は少数でもよいから、偉いものを出すという天才教育だった。今は多数のものを平均して教え導いている常識的教育になっている。(191)

昔は心の学問ばかりだった。一方、今は知識を身につけることばかりに力を注いでいる。(192)→知育と徳育は両方行うべき

ごく一般の青年であれば、小学校を卒業したら自分の経済力に応じて、それぞれの専門教育に飛び込み、実際に役立つ技術を習得すべきなのだ。〔194)

社会における女性の実体は、『女大学』から出ていないといっても過言ではないだろうと思う。だから、今日の社会で女性教育が盛んだといっても、その効果を十分に認めることができないのだ。(196)

 

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